星の降る街
『あっ、そっか…そうですよね!』

絵理香は自ら一人旅を決めたものの、一人っきりの食事に疎外感を感じてしまう。

『…ねぇ、もし良かったらなんだけど。』




『何でこいつも一緒に食べてんだよ!』

悠太のごもっともな指摘に苦笑いを浮かべながらお茶碗のご飯を口に運ぶ。

『だって絵理香ちゃん一人じゃ寂しいじゃない⁉︎ご飯は人数が多い程美味しく感じるんだからっ。』

弥生は全く悪びれた様子もなく言い放つと『たくさん食べてね!』と絵理香に微笑む。

『何かすいません。』

『いやいや謝ることなんて無いよ。食卓に若い女性がいるだけで華やかになるなぁ。』

そう言って美味しそうにビールを飲むのは「みさき」の店主である弥生の夫の修。『本当だねぇ。』とこちらも笑顔で絵理香を見る修の父と母である吾郎と久子だ。

『ねぇ、どうしたらお姉ちゃんみたいに背が高くなるの?』

『え?あ、うーん…牛乳いっぱい飲んでたかな。』

『へぇ、そうなんだ。僕明日からたくさん牛乳飲む!悠兄は牛乳が嫌いだから背が高くならなかったんだね。』

あどけない表情でとんでもない暴言を吐くのは悠太の弟である陽太。

『うるせぇ!陽、そんなこと言ってるともう絵本読んでやんねえからな。』

5歳児の言葉を鵜呑みにして、残念な発言をする21歳の地元の大学に通う悠太。先ほどの疎外感を微塵も感じない賑やかな食事に絵理香も自然と笑みを浮かべた。
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