星の降る街
『明日も天気良さそうだねぇ。』

食後のお茶を湯呑みですすりながら祖母である久子がポツリと呟く。絵理香は両手に伝わる湯呑みの暖かさを感じながら、ほっこりとした気分でその様子を眺める。

『絵理香ちゃんは明日はどうするの?』

『え?…あ、特に何も決めてないです。』

弥生の問いかけに、自分が全くのノープランなことを痛感する。

『…じゃあ、もう少し上に登って行くとちょっとした公園があるのよ。景色もなかなかだし、行ってみたらどうかしら?』

『へぇ〜、そうなんですか。行ってみようかな?』

絵理香はまだ見ぬ公園からの景色を想像すると、明日が楽しみになった。

『あそこに行くのか⁉︎…変人がいるから気をつけろよ。』

『え?変人…。』

『もうっ、悠ちゃんってば!またそんな事言って。私は彼お気に入りよ?』

弥生と悠太のやり取りにハテナマークを点滅させながらも、明日の予定が出来たことに絵理香はワクワクしながら、残りのお茶をすすった。



『おやすみなさい。』

バタン。
「みさき」の皆に挨拶をしてドアを閉めると、一気に身体に冷気が包み込む。

真っ暗な部屋の奥の窓から薄っすらと灯りが差し込んでいる。絵理香は電気をつける事なく、そのまま窓際に近付いて行く。
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