星の降る街
『…ヨダレ垂れてるぞ。』

『?…へっ⁉︎うそっ‼︎』

悠太の指摘にハッと我に返ると、慌てて口もとを手で拭う。

そんな絵理香の様子をしてやった顔で見る悠太に騙された事を悟ると、顔面めがけて手元の枕を投げるが、相手の方が上手なようで枕は閉められたドアに鈍い音を立てて床に落ちた。

『おまえ、すっぴんの方がまともなんじゃねぇの。』

『悠兄、女の子にそんな事言ってると嫌われちゃうよ?』

『う、うるさ〜〜い‼︎』

ドアの向こう側から聞こえる失礼な会話を一喝すると、賑やかな兄弟は絵理香をからかう事に満足したのか階段を降りて行った。

『はぁ〜何ていう目覚め…。』

朝からかなりの体力を消耗したように感じながらも、その勢いのまま絵理香は身支度を始めた。



『いってきま〜す。』

一階に降りてリビングに入ると、すでに皆それぞれの学校や仕事を始めているようでテーブルに置かれた朝食をそそくさと食べる。

途中、部屋に様子を見に来た弥生さんと雑談をしながら昨日教えてもらった公園の場所を詳しく聞くと、少し遅めの朝食の後に昼食代わりに軽い軽食を作ってもらうと、ピクニック気分で「みさき」を後にした。
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