眠る
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平日の昼間なのにその学校には人の気配がしなかった。僕は今日は休みだったっけ、と思ったがそんなはずはないと思い直した。今日は、朝起きて風呂に入って、歯を磨いて、オレンジジュースを飲んで、出かけたはずだ。そして歩いて駅まで行って、電車がすいていたのでラッキーと思って座ってから寝た。そのあとは・・・、思い出せそうで思い出せない。まあ、いっか。と思って帰ろうと思った瞬間、はっとした。何かがおかしい。というかほとんどおかしい。僕はもうすでに教室の中にいた。しかも、その教室は小学校の教室だった。あきらかに机と椅子が小さい。時間割表には国語と算数。近くの机をよく見ると、傷だらけで落書きのあともあった。教室全体が使いこまれたにおいがする。黒板も昨日何かを書いて消したように、最近使われた感じがする。ここはどこだ?なんで俺はここにいる?そうだ外だ。と思い、僕は窓際に行って窓を開けて外を見た。やけにまぶしく一瞬視界が白くなり、慣れてきて見えたものは校庭とどっかの街なみだった。でも人の姿はどこにも見えなかった。何か見覚えがある景色だった。右に河が流れていて、奥の方に山があって・・・、思い出した。ここから見える景色は僕が昔通ってた中学校の二階の教室から見えたものと同じだ。なんで二階まで覚えているのかわからなかったけど、なんかそんな気がした。僕はしばらくぼーっとして、煙草をふかしながら五分くらいまたぼーっとした。そして、外を見たらなんかホッとして眠くなってきたので寝た。なぜか僕は保健室のベッドで寝ていた。窓が開いていて、カーテンが風になびいていた。あたたかい風と共にかすかに、ほんとにかすかにいい香りがした。僕は、今朝起きた時は冬だったのをすっかり忘れて、春だからこんなに眠いのかなと思いながらゆっくりと眠りに落ちた。