魔女の瞳Ⅱ
第一章
深夜の外人墓地。
夜半過ぎから降り出した激しい雨は、明け方になって小降りになった。
降りしきる雨は十字架を象った墓石に雫を滴らせ、地面に水溜まりを作った。
その雨の中、私は立っている。
ポニーテールは雨に濡れて重さを増し、ダラリと垂れ下がっている。
夏服のセーラー服もびしょ濡れで、肌に貼り付いていた。
…そんな私の目の前に跪くのは、一人の男。
襟足の長い金の髪を後ろで束ねた、修道服姿の青年だった。
体は小刻みに震えている。
この梅雨の時期に、寒いという事はないだろう。
震えているのは気温とは別の理由だった。
『畏怖』。
魔性の瞳、呪眼に蓄積された膨大な魔術の中の一つ。
相手の精神に干渉し、誰もが心の内に隠し持つ恐怖の扉を少しだけ開けてやる。
そうする事で、相手の精神は恐れに満たされるのだ。
並みの精神の持ち主ならば、三日三晩はその恐怖に魘される。
しかしこの男は。
「四門…メグ…!!」
震える唇で、呪詛のように私の名前を紡ぎだした。
夜半過ぎから降り出した激しい雨は、明け方になって小降りになった。
降りしきる雨は十字架を象った墓石に雫を滴らせ、地面に水溜まりを作った。
その雨の中、私は立っている。
ポニーテールは雨に濡れて重さを増し、ダラリと垂れ下がっている。
夏服のセーラー服もびしょ濡れで、肌に貼り付いていた。
…そんな私の目の前に跪くのは、一人の男。
襟足の長い金の髪を後ろで束ねた、修道服姿の青年だった。
体は小刻みに震えている。
この梅雨の時期に、寒いという事はないだろう。
震えているのは気温とは別の理由だった。
『畏怖』。
魔性の瞳、呪眼に蓄積された膨大な魔術の中の一つ。
相手の精神に干渉し、誰もが心の内に隠し持つ恐怖の扉を少しだけ開けてやる。
そうする事で、相手の精神は恐れに満たされるのだ。
並みの精神の持ち主ならば、三日三晩はその恐怖に魘される。
しかしこの男は。
「四門…メグ…!!」
震える唇で、呪詛のように私の名前を紡ぎだした。
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