魔女の瞳Ⅱ
もう一度深呼吸する。
次に思い浮かべたのは、何故か修内太の事だった。
…どうして彼の事など思い浮かべるのだろう。
今更考えたところで仕方のない事なのに。
…わかっているのだ。
修内太と知り合い、何度か魔道絡みのトラブルに遭遇はした。
しかし、彼と過ごした数週間。
…意外な事にその数週間は、私の数百年にわたる長い人生の中で、確実に楽しいと思える期間だったのだ。
その楽しみを、喜びを私に与えてくれたのは、紛れもなく彼…宮川修内太であった。
私がこの世の中で最も忌み嫌う人間が、私が楽しいと思える時間を提供してくれた。
密度の薄い、死んでいるように生きている数百年の灰色の人生に、突然鮮やかな記憶と密度の濃い時間を与えてくれた修内太。
人間と魔女。
いずれは別離が来る事はわかっていた。
だがその別離が、これまで私が遭遇してきた人間達と同じように、忌み嫌われた末の別離であった事。
私はそれが…認めよう、悲しかったのだ。
他の誰に罵られても穢れ扱いされても構わない。
でも修内太だけには…『魔女』としての扱いは受けたくなかったのかもしれない。
彼に対して、私がどういう感情を持っていたのかは自分でもわからない。
ただ、彼が私の日常からいなくなる事は、大きな損失に思えてならなかった。
次に思い浮かべたのは、何故か修内太の事だった。
…どうして彼の事など思い浮かべるのだろう。
今更考えたところで仕方のない事なのに。
…わかっているのだ。
修内太と知り合い、何度か魔道絡みのトラブルに遭遇はした。
しかし、彼と過ごした数週間。
…意外な事にその数週間は、私の数百年にわたる長い人生の中で、確実に楽しいと思える期間だったのだ。
その楽しみを、喜びを私に与えてくれたのは、紛れもなく彼…宮川修内太であった。
私がこの世の中で最も忌み嫌う人間が、私が楽しいと思える時間を提供してくれた。
密度の薄い、死んでいるように生きている数百年の灰色の人生に、突然鮮やかな記憶と密度の濃い時間を与えてくれた修内太。
人間と魔女。
いずれは別離が来る事はわかっていた。
だがその別離が、これまで私が遭遇してきた人間達と同じように、忌み嫌われた末の別離であった事。
私はそれが…認めよう、悲しかったのだ。
他の誰に罵られても穢れ扱いされても構わない。
でも修内太だけには…『魔女』としての扱いは受けたくなかったのかもしれない。
彼に対して、私がどういう感情を持っていたのかは自分でもわからない。
ただ、彼が私の日常からいなくなる事は、大きな損失に思えてならなかった。