魔女の瞳Ⅱ
少しこの場に長居しすぎたかもしれない。

そろそろ場所を移動しよう。

ゆっくりと立ち上がろうとした私は。

「もう休憩は終わりか?」

穏やかな、男の声に戦慄した。

…路地裏の入り口に、修道服の男が立っている。

「探したぞ、四門メグ。戦いを途中で放棄するとはお前らしくもない」

「…貴方の相手は飽きちゃってね…そろそろ帰ろうかと思っていたの」

頬に汗を伝わらせながら、私は軽口を叩く。

まずい。

肩の傷はまだ殆ど再生していない。

左腕は思うように動かせない。

「帰る?おかしな事を言うんだな、お前は」

クリスは左手を私に向けた。

「お前の帰る場所などあの世にしか存在しない!!」

掌の祓魔の印から撃ち放たれる、不可視の砲弾!!

私はそれを。

「        !!」

『雷』の魔術をぶつけて相殺する!!

路地裏からはみ出すほどの大爆発が起こり、その爆風と煙に視界が一時的に奪われる。

その隙に。

「往生際が悪いぞ!!」

煙の中を突進してきたクリスが、『剣』と化した手刀を振り上げた!!

「しまっ…!」

初動が遅れた。

間に合わない!!

私は右腕を犠牲にしてクリスの手刀を受け止める。

結果。

「うぐぁっ!!」

鮮血を撒き散らしながら、私の右腕は宙を舞った。

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