魔女の瞳Ⅱ
地面に縫い付けてやろうと考えた私の作戦は。

「甘いよ」

クリスが跳躍する事であっさりと失敗した。

「頂く」

振り下ろされるクリスの右腕。

私は。

「いっ…ぐあぁぁあぁあぁっ!!」

悲痛な叫びと共に、左腕をも肩から切断されてしまった。

「ぐっ…はぁぁぁ…あぁぁあぁ…」

痛みに蹲り、うめく。

両腕のあった場所から大量の出血。

もう意識は混濁してきている。

魔術を行使する集中力すらなくなってきた。

「腕を奪われ、集中力すらなくし…最早手立てはあるまい」

ゆっくりと、クリスが近づいてくる。

「……」

今にも寸断されそうな意識の中で、私はクリスを睨んだ。

ここまでだ。

流石の私も完全に八方塞がりだ。

ここまで念入りに痛めつけられてしまえば、如何に魔女の私とて反撃はできない。

当然この傷だ。

再生も間に合う筈がない。

「さて、後は…」

クリスは腰に下げていた聖油の瓶を手に取った。

「この聖油を浴びせて火を放つ。聖なる炎で、邪悪な魔女を火炙りにして浄化する。如何にお前といえども、聖油を燃やした炎では再生できまい」

「くっ…」

為す術なし。

私にできる事は、悔しさに歯噛みする事だけだった。

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