魔女の瞳Ⅱ
修内太は、一度だけ私を見た。

両腕を切断され、全身血にまみれ、客観的に見れば相当惨たらしい姿になっているだろう。

…人間は、良心というものも持ち合わせている。

もし欠片でも情があるのならば、少しでも私を友人と思っていてくれるのならば、助けるとはいかないまでも、これ以上の攻撃はやめてやって欲しいと口にしてくれるかもしれない。


しかし、そんな甘い期待は。

「馬鹿言うな。魔女なんて助けるか」

修内太の冷徹な一言で砕かれた。

…視線を落とし、いよいよ覚悟を決める。

そうだった。

私は修内太にとっては、もう邪悪で狡猾な『魔女』でしかなかったんだ…。

なのに、一瞬でも助けてもらえるかも、なんて想像するなんて…。

私は…馬鹿だ…。

死ぬ時くらい、誇り高き魔道の名門、デッドゲイト家の後継者として凛としていたかったのに。

「……」

女々しく涙なんてこぼしてしまう自分が情けなかった。










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