WHY
送辞がおわり、お通夜では異例の拍手が起こった。




 最初は何の出来事かと分からなかったが、自分の席に戻り冷静さを取り戻した。




 うれしくもあり、それでも何かやり遂げた感はあったが、誰もが次の瞬間下を向いていた。




 現実問題は何も解決していないことを改めて感じる。

 犯人もつかまっていなければ、無論鈴木ももう戻ってはこない。

 その中での拍手は感慨深い。

 


 終盤に向かい、お父さんの挨拶も終わり、解散の方向に向かっていった。



 私たちは、食事を通す事はできずにお茶だけを頂き、明日の告別式の為、

 早々お邪魔をした。

 


 帰りの駅に向かう道で真由美と話をした。

 


 「なんかあっけないお通夜だったね…。」
 と真由美がつぶやいた。



 「そうだね、涙は最初だけで、後は淡々と進んで、もう少し名残惜しくてもよかったよね…。」

 


 月は三日月で、かけた暗闇の暗影を見つめていた。

 


 明日は本当に最後だから、しっかり骨を拾わないと…

 駅でそれぞれに電車に乗り、別れた。




 
< 109 / 203 >

この作品をシェア

pagetop