WHY
かなりの時間だったが、市内では一つしかないところだったので、

 以前に来たことがあるのを思い出した。




 それでも、誰のお葬式だったのかは忘れてしまったが、見覚えのある庭園だった。




 池には恋が放たれており、鮮やかにジャンプをしている。




 ついた早々、焼き場の入り口で再度お経を読み上げた。

 


 出棺の時が迫り、母親が大きな声でこういった。



 「今度生まれ変わる事があれば、ちゃんと親より生きるのよぉ~。」







 胸に響いた内容だった。




 辛い状況から脱したとき、人は生まれ変わる。




 自分達でもそうであってほしいと願いたい。




 これから残された人たちがこの機会にしっかり生と死を考えられるようになりたいと…





 鈴木は焼き場の中へお棺毎旅立った。




 思い出の品は、付けていたリストバンドと、制服、そして最後に撮ったプリクラだ。

 


 火葬場では2時間ほど時間を要した。



 長い間じっくりじっくりと、灰になり、空へと散っていくあの子の事を考えながら。

 


 休憩室では終始無言で過ごしていた。



 それでも、父親は皆に愛想をふりまき、毅然と振舞う姿に痛々しかった。

 
 この間に私達は、一緒についてきた、警察の方に色々話をした。
 


 この間の件、日記の件、どういう感じだったのかと犯人像を追いかけるのに

 必死になってくれた事が救いだった。







 
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