WHY
「ねぇ~手紙書くから、住所教えてねっ!」




 「えっ、手紙かぁ~なんか恥ずかしいなぁ~、俺字下手だよ?
  それでもいいんだったら、かまわないけどねっ。」





 「一方的に送りつけるから大丈夫だよ。」







 「そう、じゃあ、何か書くのあるかな?」





 と住所と宛名を書いてもらった。







 今度は会話は案外と言うか、かなり苦手なだから、ちゃんと手紙で自分の事を伝えよう。







 正直に話せば、ちゃんとわかってくれるはずと信じられる相手で居てほしい。







 そう願いのほうが強かった。




 
 駅構内まで付き合ってくれた。







 夕方のラッシュでさすがに下り電車には沢山の人が降りてきたが、

 それでも、のぼりはたいしたことがなかった。







 「きをつけてなっ。」







 「ありがとう、3つ先で降りるから大丈夫だよ!」








 最後の最後までやさしさをくれる彼に、感謝をしていた。





 駅の中は、ごった返していたが、今は彼しか見えない自分が居た。




 少し前までは、矛先を自分、なんでもかんでも自分のせいにしていた。







 それでも、やり場のない苛立ちを覚えていた。







 まだまだ、これからこれから、自覚しているだけまだましかと言い聞かした。


 


 ゆっくりと電車は駅から離れた。




 何分もしないうちにベルが鳴った。














 「キョウハアリガト。マタアッテネ。」


 







 一言の言葉を胸に刻んで、帰りを目指した。








 自分の心と気持ちが体と同時に、自然に動けるように祈りながら…
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