WHY
なんで、私が…そうしか思えない話の内容だったので、何とも言いがたい屈辱感を味わったみたいで…

 次の言葉も更に突き刺さった




 「今日からお前は、俺の家族だ…。だから、何でも遠慮なしだな。部活の時は監督とキャプテンだ。その他は何でも行ってくれ。なっ。」




 声が笑いながら言う”あいつ”の不適な笑みは、当面この記憶から消せそうにはない…




 ましてや、本気で家の事を手伝うのだけは。




 ましてや、母親が勝手に何でも私の承諾なしに、決める事自体以上な事なのに。



 何を考えているか、やっぱり自分の都合しか考えられない、そんな大人は大嫌いだと改めて思った

 つれづれに、夜の中庭を照らす明かりが、部屋まで到達していたが、さすがに22時を越えた辺りで

 真っ暗になった。

 そして、大きな”あいつ”の影は、私に近づき、そっと腕を捕まえて、手繰り寄せるかのように、抱きしめられた

 なんて、居心地の悪さだろう。好きになった人でさえも抱きしめられた事がないのに…

 許せない、許せないと心の中に鼓動として伝えたかったかが、それが口に伝達し、音で発する事が出来ない

 夢であってほしい、今すぐ醒めてほしい。

 そんな事を思いながら、目をあわそうとする、”あいつ”から一生懸命な抵抗をして、顔を横に向けた。
 
 本気で人を愛せられるのだろうか、真剣に恋ができるのだろうか、疑問だ

 夜の風景は一瞬、黄色白く薄暗く、外の電灯だけが、優しかった事だけが覚えている。
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