WHY
「それでは、失礼します。」



 と、教官室を出た。やっといえた。こういう強い気持ちは自分も合ったんだ。



 何か、吹っ切れた感じで晴れ晴れした事を鮮明に覚えている。



 もう少し前に言えていたら…何も苦労はしなかったのだが。



 でも、これで終わりではない。





 体育館に戻った私は今一度皆を集めた。



 「これから、監督不在だけど、もう一度高い志を胸にして、目標を目指して頑張ろうね!」



 「はいっ」



 みんなの言葉が、館内で気持ちよく響き渡った。嬉しかった。



 一つにまとめることはそう容易ではない、こういうときでこそまとめるいい機会なんだ。



 でも、自分の中にある悪魔はそう簡単には逃げれない。



 
 その場所、そういう雰囲気の中では自分は保たれている。




 けれど、1人の時間は決して、楽ではない。




 この夜、狂ったかのように、風呂場で3回目のリストカットをした。




 なんでか、それは自分が生きている証を見たかったから。




 死ぬ為にするんじゃない。生きているという証が欲しかった。



 自分は生きているんだという、強い意志が欲しかった。



 それが、今はこの手段しかない。それが、今の自分なんだ。




 あの人と出会うまでは…
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