WHY
放課後いつもの部活が始まった。今日は、あいにくの外練習で学校の周りを延々と走る、外周ランの日だ。
いつもの調子で部員と走っていると、突然雨が急激に降ってきた。夕立だ。学校へと急ぎ、下級生達から軽く、シャワーを浴びさせて、順々に体育館の下の雨が避けれる、ピロティで筋トレを開始させた。
 
 最後に私が、シャワーを浴びていると後ろからカーテンの向こうから気配を感じた。気配とカーテンの向こうの影で誰だが直ぐに分かった。”あいつ”だ。

 徐にカーテンを開けて、私の後ろに周り、後ろから抱きつかれた。なぜだか知らないが、又硬直した体は一向に言う事は利かない。微動だにできないじょうたいだった。
 この状態ではなす術もない状態だ。いわれるがまま、首筋から胸の辺りを指を這わせながら、また口をつけながらすべらせてきた。何も感じない。ただ耐えるだけ。

 私に、しゃがむ様に言ってきた。両膝をたてて、”あいつ”は下を出してきて、私の口に持っていく。
初めての経験で、何をしたらいいのかも分からない。ただ、口の中に入れて、なめろと…
そんなんんは、現実味自分がするとは思わず、なぜしなければならないのかも分からず、言われた通りに。

 

その時間帯は苦痛であった。何もかも苦痛にしか言葉が出てこない。涙はシャワーのしずくと共に排水溝に流れる。私の涙なんて、そんな物だ。今を耐えれば、何も問題ない、そんなバカふざけた解釈で私は理解した。

 そうこうしている内に、時間が過ぎていき、皆が心配するからと一言告げて、口をぬぐいその場から去った。あいつはふざけた笑みを浮かべて、こっちを見ている。忘れない、そんな笑みは。

 脱衣所で、伏せるかと思ったが、気丈に振舞うとは思わなかったが、感情が受けない分自分は助かったのかもしれない。その、しっぺけしは何年も後に来るとは思わなかった。自分はしっかり今は自分だという実感はまだある。”あいつ”の前ではどうしても、自分でなくなる。このON、OFFのスイッチは自分ではない、”あいつ”で変わる事が許せない。そんなことを感じていた。
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