WHY
小さくうなづく鈴木が、可愛そうに見えたのだが、それでも誰かが守ってあげなければと瞬間的に思った。  




「この事は誰か他の人、知っているの?」  




「いいえ、キャプテンだけです…。こんなこと誰にも言えなかったし…。」  




確かにそうだ。気軽にこんなこといえない、ましてや、親にだって。私もそうだから。  




「そう言ってくれるというのは、確かだってことよね?」  




「はい、検査薬も2回やって、陽性でしたので…間違いないかと。」  




ん~これは困った、まずはそのやった当人達を見つけ出して、しないと。  




でも、この子の気持ちはどうなんだろう?果たして、それに立ち向かう気持ちは今はあるだろうか?  




ないければ周りがフォローをしてあげないといけないし…




果たしてその大役を自分はまっとうできるのだろうか?  




不安だが、誰も助けを求められなかった、唯一私に助けを求めてきた。  




その期待に応えてあげないと…という強い気持ちに変わった、自分の心境にも少し驚いた。  










夕暮れも、落ち始めた午後の終わり、この子の将来と私の未来を少しだけ、太陽と重ねてみた。

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