拾い物
「うん、実はさ、これが落ちてたのよ。どうする?」「・・・、やばくね?英語でいったら、イットイズトゥーマッチトゥーミーだよこれは。」「だろ?多分その英語間違ってるけど、しっかしなんでこんなもんが落ちてるかね?ふつー気づくだろ落としたら」「・・・、まさか、一杯食わされかけてるっつーか、もうおそいんじゃないの?」「マジ?そう思う?今から戻してきてもいい?ありかな?」「いや、ギリギリでアウトっつーか、9回裏2アウト一点差で負けてて、スクイズ失敗で3塁とホームの間で立ち尽くすランナー、ボールを持ったキャッチャーまであと2mって感じじゃねーかな、わかりやすく言うと。」「わかりにくいし、長いし、その状況だったらスクイズしねーよ!」「ああ、そうか」「そうだよ!で、どうしよう?幸い、俺これもってバイトいって帰ってきたけど大丈夫だから、まだ少なくとも俺がこれ持ってるって誰も知らねーんじゃねーか?」「そーだな、とりあえず様子みるか。でもこんなもんバイト持ってってよく誰にもばれなかったな。」「あっ、一人見られた!いやでも大丈夫だと思う、なんか帰りにきったねーホームレスに、でも大丈夫だよ、なんか酒飲んでラリってたから、軽くこずいて眠らしといた。」「そっちの方が大丈夫か?殺してねーだろーな?」「大丈夫だと思うよ、多分。でも例え死んでても大丈夫だよ、俺はそんなもんじゃ罪の意識は芽生えない。」「あーそー、ならいいけど。」「でも、これ問題だよな実際。下手したら日本もドイツみたいに東西にわかれかねねーよな、これをどうするか如何では」「いや、検討外れも甚だしいぞお前は、なんでこれのせいで日本が朝鮮半島みたいに分断されなきゃいけねーんだよ、これがどーなったらそんなことになんだよ」「いや、ドイツだけどな」「どっちも同じようなもんだろーが、そんなことより、まずこれをどーするかだよ、つーかお前にあげるわ、これ。じゃな!」「おい!まてって、殺す気か!」「いや、お前なら乗り越えられるよ。高校の時だってお前の3ポイントであと4点差のとこまでいったじゃねーか。」「勝ってねーじゃねーか、しかもその試合その3ポイントしか決めてねーよ!」「まあ、明日またくるから、責任持って。」「全然持ってねーよ、お前が拾ってきたんだからお前んち持ってけよ!」「いけね、もうこんな時間だ!じゃあな、まじで!」「いや待てよ!まじで!」