待ち人
「そーだな、ありすぎてどれから言おうか迷うけど、とりあえずその若者は死刑を言い渡されてから死ぬまで何をしてたんだ?」「ああ、それは言ってなかったな。普通だよ、家帰って飯食って寝た。そして朝起きて、飯食って死んだ」「他には?何かしなかったのか?」「特別な事は何も、ただ親には死刑のことは黙っていた。それ以外は普通だ」「あっそう。じゃなんでわざわざ進んで死刑になりにいくようなまねしたんだ?」「さあ?曲がったことが嫌いだったんじゃねーの?」「じゃあ、この話の教訓は?」「自分のケツは自分で拭けってことかな」「ほんじゃ最後に一つだけ、雨が止んだのはわっかたけど病気はどーなったの?」「そこまでは知らんね」「なんだよ無責任だな」「しょーがねーだろ、俺が作った話じゃねーんだから」「じゃあ、お前ならどーする?」「病気のその後?」「そう」「そーだな、俺だったら最後に『その後しばらく経ってから、王様も流行り病にかかって死んでしまいました』と結ぶね」「あっそー、俺だったらねー」「聞いてねーよ」「まあ聞けよ、『その後その病は雨上がりの太陽と同時に消えてなくなりました』と終わらすね、ハッピーエンドよ」「でも若者死んじゃってんのよ、全然ハッピーエンドじゃねーだろ」「まーな」ってゆうような話だった。別にあいつとそんなにおもしろい話をしていたわけでもないし、最悪につまらなかったわけでもない。ただもう二度とあいつと会う事はないだろうと思い、少し思い出しただけだ。それに、おそらくもう一度くらいは会うんじゃないかとも思いながら家に帰った。
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