まっしろな遺書
01月:生きる意味
 ひとりの男が自殺しようと思っていた。
 手首を斬ろうとカッターを構える。

 だけど、その前に遺書を書こうと思った。
 男は悩む。

「遺書は、自殺してから書くか。
 自殺する前に書くか……」

 男は間を開けて答える。

「自殺する前に決まっているよな」

 誰もツッコミを入れないのでひとりでボケてひとりでツッコむ。
 虚しい。。

 友だちといえる友だちもいない。
 お金もない。
 派遣会社に務めていたが、派遣法がかわり倒産。
 それに伴い男は失業することになった。
 気づけば28歳。
 アラサーである。
 仕事なんてなかなかみつからない。
 再出発には、少し難しい。

「遺書を書かないで自殺しようかな」

 男は、そう言ってカッターナイフを見つめた。
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