まっしろな遺書
 2015年5月7日


 十三は、前からあった甲状腺のポリープの検査を行った。
 結果は、良性。

 研修医も立ち会っていたので、細かい説明まで聞けたのはラッキーだったと思う。
 研修医は、可愛い女の子だったため十三は少し緊張した。

 運動をしていないのに筋肉痛。

 運動不足なのかと最初思い医者に相談しようと思ったが、検査とかのたらい回しとが面倒くさいので止めた。

 子供たちは、今は、授業中。
 美穂は、仕事中。
 美穂とは、毎晩セックスをしないで、イチャコラしているので、不思議とその辺は寂しくない。

 十三は今、美穂に恋している。
 美穂も今、十三に恋しくれていると思いたい。

 相思相愛、十三は無敵なような気がしてきた。

 脳腫瘍があると聞いて最初は怖かったが……
 美穂のおかげで怖くはない。

 恋は無敵のパワーと言うヤツだ。

 十三は、そう思って病室から外を眺める。
 雨がポツポツと振りかけている。

「雨ですね」

 後ろから女の子の声が、聞こえる。
 振り向くとそこには、千春が、立っていた。

「そうですね……」

「どうしたんですか?
 ニヤニヤして」

「うんにゃ。
 平和だなと思ってさ」

「そうですね。
 日本は平和です」

「海外では、戦争しているんだよな……
 なんか、信じれないや」

「私は、もっと優秀になって戦場で看護師の仕事をするのが夢なんです」

「どうして戦場?
 日本じゃダメなの?」

「私、沢山の人を救いたいんだ。
 ホントは、お医者さんになりたかったんだけどね……」

 千春の目は、何処か寂しそうだった。

「看護師も立派な仕事ですよ。
 俺なんてニートですよ?」

「ありがとう」

 千春は、ニッコリと微笑んだ。
 十三には、その笑顔がとても眩しかった。
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