まっしろな遺書
 2015年6月4日

 結局昨日の1件で、子供たちの元気が回復する事は無かった。
 しかし、昨日の夕方、子供たちが十三の部屋にやって来た。

 ほとんど話はしなかったが、子供たちとバケモンをやった。

 愛は、時折涙を流していたけれど隼人が、優しく頭を撫でた。
 隼人、大きくなったら持てるだろうな。

 案外この2人、結婚したりして。

 十三は、そんなことを思うと少し心が温かくなった。

 今日の十三は、することがない。
 バケモンも何匹かレベル100になった。
 ホワイト(無印)から持って来たミュウが、俺のバケモンの中では、1番強い。
 でも、色違いのイーブイが欲しいので、毎日、ジョインアベニューにて毎日イーブイの卵を孵化させるのが、日課になりつつある。

 色違いじゃないイーブイが産まれるとパソコンの中に入れることも日課である。
 もちろん、未だに色違いは出ない。

 レアだから出ない。
 でも、充は持っている。
 あのメンバーの中で1番バケモンをやりこんでいるのは充だ。

 十三はは、今日もバケモンをする。

 気がつくと千春ちゃんが、ニコニコ笑いながら十三の方を見ていた。

「あ、千春ちゃん」

「昨日は、ありがとうね」

「え?」

「はるか先生も、喜んでいたよ」

「でも、結局子供たちの笑顔は……」

「笑顔は、難しいよ。
 でも、十三さんの気持ち伝わったと思うな~~」

「だといいけど……」

「十三さんも元気出して下さいね!」

「千春ちゃんは、平気なんですか?」

「え?」

「山本さんが亡くなっても辛くないですか?」

 十三が、そう聞くと千春は、一瞬泣きそうな顔をした。
 それを見て、俺は、後悔した。

「つらいよ。
 でも、そういうのに慣れちゃった」

「そっか……」

「最初の頃は、誰かが亡くなる度に泣いていたけど、千代田さんにその度に注意されていたよ……
 『誰かが亡くなるたびに泣いていたら、この仕事つらいよ!』って……」

「そっか……
 ごめん、余計なことを聞いたね」

「うんん。
 今日は、シーツを変えるからちょっとどっか散歩してきてもらえるとありがたいな」

「わかった」

 十三は、ベッドから降りると病院内を散歩した。
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