まっしろな遺書
 2015年6月5日

 今日は、曇のためか少し肌寒かった。
 十三が外を歩いても友達が居る訳ではない。
 顔見知りはいるけれど……
 知人未満だ。

 山本は、色んな人と交流があった。
 その反面十三は、友達を作るのが苦手だ。

 しかし、子供たちは気に入ってくれているみたいで、ほぼ毎日俺の部屋にやって来ていた。。
 でも、来てくれるのは夕方だ。
 昼間は1人で、廊下をブラブラしたり晴れの日は庭をブラブラしたりしている。

 十三は、暇で暇でたまらない。
 でも、どうすることもできない。

 病院に来て、5ヶ月を迎える。
 未だ、大人の病院友達は、今は亡き山本さんだけだ。
 十三がブラブラしていると。
 子供たちが、絵を描いている姿が目に入った。

「あ!お兄さんだ!」

 歩が、十三の方に近づいてくる。

「ああ。
 こんにちは」

「お兄さん、こんにちは!」

「今日もお絵描きか?」

「うん!」

 歩みは、少しだけ笑った。

「十三の兄ちゃん、いつも1人でいるけど友達いないのかよ?」

 元太が、十三の心をグサリと刺す。

「うん、俺は友達は少ないんだ」

「寂しですね」

 充が苦笑い。
 充の顔色が少し悪い。

「充君、顔色悪いけど大丈夫?」

「薬の副作用でこんなんなんです。
 僕もいつお迎えが来るかわかんないです」

「そんな寂しいこと言っちゃダメだよ」

「いいんです。
 遅かれ早かれ人は死ぬのですから……」

 隼人が冷たい口調で言う。
 その目は、冷たくそして寂しそうだった。
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