まっしろな遺書
 2015年6月13日

 今、充の手術が始まった。

 これから、4時間かけて手術が始まる。
 子供たちが、十三の部屋で待機している。

 十三は、いつものようにバケモンをして待とうと思ったのだけどバケモンのソフトが無くなっていた。
 バケモンのソフトが無くなったのは十三だけじゃない。

 十三の他に美穂、歩に愛、隼人。
 そして、昨日、先生に無理を言って泊めてもらった元太のバケモンのソフトも無くなった。

「暇だぞ……」

 元太が、うなだれる。

「充君の手術、早く終わらないかな……?」

 歩が、そう言って俺の方を見る。

「早く終わるより、無事に終わることを祈ろう」

 十三が、そう言うと愛が小さな声で呟く。

「大丈夫だよね?」

 正直な話、充の手術は、かなり難しい。
 成功してもそれ相応のリスクを背負う。

「お守り持ってきたから大丈夫だよ」


 美穂が、そう言ってみんなにお守りを見せた。
 そのお守りには、交通安全祈願と書かれていた。
 それを見た隼人が、すぐにツッコむ。

「それ、交通安全祈願だよ」

 皆は、それを聞いて少しだけ笑顔を見せる。

「あ、間違えた……」

 美穂は、そう言って新しいお守りを出す。
 そう言って十三たちに見せたのは……
 子宝祈願と書かれたお守りだった。

「子宝?」

 隼人が、首を傾げる。

「私と十三の子供を作るの……
 その祈願のお守り……♪」

「へぇー」

 隼人君が目を細める。

「まぁ、手術が成功することを祈ろう」

 十三が、そう言うとみんなは頷いた。
 そして、祈った。
 手術が成功することを……
< 139 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop