まっしろな遺書
 2015年2月23日午前10時過ぎ…… 
 十条の病室のドアが豪快に開かれる。
 美穂だった。
 美穂は、十三の前に袋を置いた。

「これはなに?」

 十三が、そう尋ねると美穂は胸を張って答える。

「これは、バケットモンスター。
 通称バケモンじゃ」

 なんとなく危険なフレーズが返ってきた。
 だけど俺は突っ込めなかった。

「バケモンなのはわかったけど……」

「あとこれも……」

 美穂はそう言ってゲーム機を十三の前に出した。

「これ3DS?」

「うん。
 これがあったら十三もみんなと遊べるでしょ?」

 美穂はそう言って笑う。

「私が、マグロで十三がシャケ!」

 美穂がそう言って笑う。
 十三は、苦笑いを浮かべながらバケモンの箱を開ける。
 十三が、ゲームを起動させる。
 このワクワクする感じ……
 久しぶりだな。
 もう、10年以上続いているこのゲームのシリーズ。
 自由と仲良くなったのもこのバケモンがきっかけだっけ…‥
 懐かしい。
 すると歩たちが、十三の病室に入ってきた。

「この音楽バケモンだ!」

 歩が楽しそうに騒ぐ。

「よし!
 俺のレベル100のゴリッラと勝負だ!」

 元太がそう言って笑う。

「まて、俺のクキージャのレベルは20もないんだぞ?」

「なんとかなるって!」

 元太がケラケラと笑う。
 なんとかなるのか?ならないだろう。

「十三さんは、シャケなんですね」

 充がそう言って美穂の方を見る。

「私はマグロだよー」

 美穂はそう言って箱を充に見せた。
 そうして十三たちの一日が始まった。
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