まっしろな遺書
 2015年3月12日

 十三は、暇そうにゲーム機の電源を入れる。
 そして、バケモンで遊ぼうとしたとき部屋のドアがノックされる。

「はい」

 十三が返事をして、ドアが開かれそこに現れたのは萌だった。

「十三くん。
 おはよー」

「あ、萌ちゃんか……
 おはよー」

「十三君の部屋、思ったより広いねー」

「うん」

「十三君って、もしかしてお金持ち?」

「いや、貧乏だよ」

「でも、個室じゃない」

萌ちゃんは、ニッコリと笑い俺のベッドの隣にある椅子に座る。

「うん。
 そこは、俺にも謎なんだー。
 気が付けば個室に居たから……」

「そうなの?」

「うん」

「それは、そうと子供たちから噂で聞いたよ。
 十三君に、綺麗な彼女がいるって」

「彼女と言うか同居人だよ。
 たぶん、病院の費用もその子が、出してくれている……」

「そうなの?
 その子に挨拶しなくちゃ……」

「今、出張中でここには居ないんだ」

「そうなの?
 残念……」

「1ヶ月以上の長期出張だから、暫くは逢えないかも……」

「残念。
 逢ってみたかったなぁー。
 十三君の話とかもしてみたかったし……」

「そっか。
 ごめんね」

「うんん。
 帰ってきたら紹介してね」

「うん」

俺は、苦笑いを浮かべた。

「どんな子なの?
 可愛い子?」

「うん。
 可愛くて優しい子だよ」

「年上?年下?」

「同じ年かな……」

「いいじゃん!
 ラブラブ?」

「ラブラブじゃないよ……」

「そっかー。
 でも、個室の部屋の入院費を出してくれるって、愛がなければできないことだよ」

 萌は、ニコニコ笑いながら言った。
 美穂が、自分を愛してくれているのか……
 それは、十三にもわからなかった。
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