まっしろな遺書
 2015年3月17日

 今日は、火曜日。
 十三は、久しぶりに歩たちと遊んだ。
 6歳児と遊ぶ28歳独身男。

 歩たちとゲームをしていると萌とゆかりも十三の部屋に遊びに来た。

「相変わらず、貴方たち仲がいいわね」

 ゆかりが、クスリと笑う。

「うん!
 私たち、お兄さんのこと大好きだもん!」

 歩が照れる様子もなく笑顔で答える。
 十三は、あまり好きと言われることはない。
 体中にある痣のせいだ。
 そのせいで、小さな頃から虐めにあってきた。
 しかし、ここは病院だ。
 歩たちは、病院生活が長い。
 そう言うことに対しての配慮が出来るんだ。

「んで、今日はおふたりともどうしたの?」

「今日はね、十三君に報告があるの」

 ゆかりさんが、照れくさそうに笑う。

「報告?」

「私の赤ちゃん、4月の半ばまでには産まれるって……
 正式な日程は、あえて聞いていないんだー」

「そっか。
 おめでとうございます!」

 十三は、お祝いの言葉を述べた。
 ここは、病院。
 色んな人がいる。
 ゆかりの体にも痣が至る所にある。
 しかし、それは十三のような生まれつきある痣ではなく。

 人為的に作られたモノ。
 そう、誰かに殴られた時に出来た痣だ。
 十三は、何も聞けなかった。
 ここは、病院。

 色んな人がいる。

 だから十三は聞かない。
 興味が無いわけじゃない。
 興味本位で聞いていいことじゃないからだ。
< 49 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop