まっしろな遺書
 2015年3月21日

 十三の熱は36.5度にまで下がった。
 十三は、体をベッドから降りると大きく背伸びする。

「あー。
 肉食いたい……」

「じゃ、退院したらBQしない?」

 十三の後ろから萌の声が聞こえた。
 振り向くと萌が、立っていた。

「そうだね……
 みんなでBQとか楽しいだろうね」

「うん。
 ゆかりちゃんや太郎君に子供たち。
 きっと楽しいよ。
 あ、十三君の彼女も忘れちゃダメだね」

「そうだな……」

 十三は、そう言いつつも心のなかは不安でいっぱいになっていた。

  美穂、元気しているかな?
  メールをしても返事来ないし。
  電話をかけても出ない。
  もしかして、俺、捨てられたのかな?

「明日は手術……
 なんか、胸がドキドキしてる」

「そっか。
 確かめてもいい?」

「ダーメ!
 私の体は、太郎君だけのモノだもーん」

 萌は、そう言って笑う。

「そんな大声で言われると恥ずかしいっすね」

「あ、太郎。
 お前も来てくれたのか?」

「十三さんが、風邪だって聞いたから来たんっすけど……
 大丈夫そうっすね」

「ああ。
 2日休めば治るさ」

「なんだ、十三、元気そうじゃないか」

「小太郎まで来てくれたのか?」

「ああ」

 小太郎が、頷きながら十三に袋を渡す。

「なんだこれ?」

 俺は、袋を開けるとそこには、数本の大人のDVDが、入っていた。

「わ!十三君のスケベ!」

 萌ちゃんが、顔を赤くして笑う。

「これで、数日はイケるだろ?」

 小太郎が、笑う。

「DVDデッキが無いから返す」

 十三は、小太郎に大人のDVDを返した。
 小太郎は、苦笑いを浮かべながらそれを受け取った。

 十三は心のなかで祈った。


  明日の萌ちゃんの手術日。
  成功しますように。

 と……
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