まっしろな遺書
04月:遅咲き桜
 2015年4月1日


 新しい月が始まる。
 十三は、萌が亡くなったことにより気持ちが沈んでいた。

 子供たちも元気が無い。

 十三の部屋は、まるでお葬式のように静かだった。
 いつもの子どもたちのメンバーの他に瓜と桃も十三の部屋にいる。

「寂しくなったらいつでも遊びに来てね」

 十三が、そう言ったら泣きながらうなずいた。
 そのため、今日も瓜たちは来ている。

「あらあらあらあら……」

 ゆかりが、そう言って俺の部屋に入って来た。

「ゆかりさん……」

 萌の葬儀の時、席が離れていたのであまり会話は出来なかった。
 なので、十三とゆかりがこうやって話をするのは久しぶりだった。

「お腹、だいぶん大きくなったね」

 歩が、明るい声でゆかりさんに尋ねた。
 暗かった空気が一気に明るくなる。

「もうすぐ産まれるの?」

 瓜が、小さく尋ねる。

「うん。
 そうだよ」

 ゆかりさんが、瓜の目線に合わせる。

「名前は?
 名前は何にするの?」

 歩ちゃんの目がキラキラと輝く。

「名前は、まだないの……」

「へぇー。
 じゃ、早く決めて上げないとね!」

「そうね……」

 ゆかりさんが、ニッコリと微笑む。

「十三君、元気ないかと思っていたけど子供たちがいれば安心ね」

「心配してくれてたんですか?」

「うん。
 心配するわよ」

「ありがとうございます」

 俺が、そう言うとゆかりさんは俺の背中をパンパンと叩いた。

「しっかりしてね、十三君!」

「はい……」

 俺は、ゆっくりとうなずいた。
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