まっしろな遺書
　2015年4月8日

　今日の朝、病院でちょっとした事件が起きた。
　男が、ロビーで暴れているのだ。

「ゆかりはどこだ！
　ゆかりを出せ！」

　十三は、男と目が合う。
　すると男は、十三の方にゆっくりと近づいてくる。

「お前、ゆかりを知っているか？」

「どこのゆかりさんですか？」

「とぼけるな！
　杉山ゆかりだ！」

　十三の知っているゆかりは、確か、田村ゆかり。

「杉山ゆかりさんは、知りませんね」

「この病院にいることは、調べがついているんだぞ！」

　男は、俺の胸ぐらをつかむ。

「そんなこと言われても……」

「いいから、ゆかりを出せ！」

　男は、十三の顔を殴る。
　何度も何度も殴る。
　十三は、どうして今殴られているのかがわからない。
　警備員が駆けつけてくれたが、それでも男は、十三を殴り続けた。

「お前か？ゆかりの新しい男はお前か？」

　男は、警備の人を投げ飛ばし殴り飛ばす。
　警備も普通の人だろうからそんなに強くないのだろう。
　それでも男の実力は、かなり高い。

「十三をイジメるなー」

　美穂が、疾風の如く現れ、男を蹴り飛ばす。

「この糞、女が！」

　男は、美穂の方を睨む。
　しかし、十三の意識はそこで途切れた。
　真っ暗な世界に十三は死を覚悟した。
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