まっしろな遺書
2015年4月9日
十三が目が覚めたのはいつもの病院のベッドの上。
昨日意識を失って、そのまま今日を迎えた。
頭には包帯が巻かれていた。
「あ。
十三、気づいた?」
美穂が、心配そうに十三の方を見ていた。
「美穂……?」
「うん。
美穂だよ」
「怪我してない?」
「私は、大丈夫だよ。
十三は怪我しちゃったけど……」
美穂が、小さくと笑う。
俺は、ゆっくりと体を起こす。
体中が痛い。
「そうか……
なら、よかった」
「私、ケンカ強いから……」
美穂が、クスリと笑う。
「そうだったね。
合気道三段だっけ?」
「うん」
「んで、あの男は、どうなったんだ?」
「逃げたよ」
「そっか……」
「うん」
「ゆかりさんが、どうのこうの言っていたけど。
あのゆかりさんじゃないよね?」
「たぶん、違うと思う。
あの男が探していたのは、杉山ゆかりさん。
美穂が知っているのは、田村ゆかりさんだから……」
「そっか……
なら、安心だね」
「そうだな……」
「それ、私だよ」
女の人の声が、ドアの方から聞こえる。
そこに居たのは、ゆかりだった。
「私、結婚していた時は、杉山ゆかりだったんだ。
だから、それ、私だよ」
「え?」
「田村ゆかりは、旧姓なんだ……
ごめんね、十三君。
巻き込んでしまって……」
ゆかりは、ぼろぼろと涙を零した。
美穂は、ゆかりさんの方に近づきぎゅっと抱きしめた。
「十三もゆかりさんも、私が護るから」
美穂が、そう言った。
十三が目が覚めたのはいつもの病院のベッドの上。
昨日意識を失って、そのまま今日を迎えた。
頭には包帯が巻かれていた。
「あ。
十三、気づいた?」
美穂が、心配そうに十三の方を見ていた。
「美穂……?」
「うん。
美穂だよ」
「怪我してない?」
「私は、大丈夫だよ。
十三は怪我しちゃったけど……」
美穂が、小さくと笑う。
俺は、ゆっくりと体を起こす。
体中が痛い。
「そうか……
なら、よかった」
「私、ケンカ強いから……」
美穂が、クスリと笑う。
「そうだったね。
合気道三段だっけ?」
「うん」
「んで、あの男は、どうなったんだ?」
「逃げたよ」
「そっか……」
「うん」
「ゆかりさんが、どうのこうの言っていたけど。
あのゆかりさんじゃないよね?」
「たぶん、違うと思う。
あの男が探していたのは、杉山ゆかりさん。
美穂が知っているのは、田村ゆかりさんだから……」
「そっか……
なら、安心だね」
「そうだな……」
「それ、私だよ」
女の人の声が、ドアの方から聞こえる。
そこに居たのは、ゆかりだった。
「私、結婚していた時は、杉山ゆかりだったんだ。
だから、それ、私だよ」
「え?」
「田村ゆかりは、旧姓なんだ……
ごめんね、十三君。
巻き込んでしまって……」
ゆかりは、ぼろぼろと涙を零した。
美穂は、ゆかりさんの方に近づきぎゅっと抱きしめた。
「十三もゆかりさんも、私が護るから」
美穂が、そう言った。