まっしろな遺書
 2015年4月12日


 子供たちは、今日も十三の部屋でバケモンをしている。
 十三は、少し飽き気味だが美穂は、ハマっているみたいだ。

「兄ちゃん、相変わらずバケモン弱えなぁー」

 元太が、そう言ってケタケタ笑う。

「流石にミューツー6匹の部隊には勝てないよ」

 十三がため息交じりに答えると充が、笑う。

「じゃ、今度はこのブラッキー部隊が元太君の相手をしましょう!
 十三さんの敵討ちです!」

 充は、そう言って元太とバケモン勝負をする。
 そして、勝ったのは充だった。

「充のブラッキー強いな!
 俺のミューツーの技、全然効かない……」

「じゃ、充君!
 今度は私のリオル部隊と勝負だよ!」

 歩が、そう言って2人はバケモン勝負をした。
 十三は思った。
  今は、ひとつのポケモンを育てるのが流行っているのかと……
  自分の時は、色んなバケモンを強くするのがセオリーだったからだ。

 愛は、隼人とバケモン勝負をしている。
 こっちは、いい勝負をしているみたいだ。

「あ……負けた」

 愛がボソリと呟く。

「愛は、可愛いバケモンだけを育てるのをやめよう。
 不細工でも強いバケモンは沢山いるんだからさ……」

 隼人が、そう言うと愛が答える。

「可愛くないバケモンはバケモンじゃないよ。
 それに、虫なんて育てたくないもん……」

「虫でもかっこいいヤツはいるぞ?
 デディバとか……」

「虫、嫌い……」

「そっか……
 それでは、僕の氷バケモン部隊には、勝てないよ」

「が、がんばるもん……」

 愛が、そう言うと俺の方を見た。

「お兄さん勝負しよう?
 私のミニリュウ部隊と……」

「ミニリュウ?
 どうして進化させないの?」

「進化させたら、可愛くなくなるから……」

「そっか……」

 ミニリュウでは、弱点属性の多い隼人の氷バケモン部隊には勝てない。
 こうして十三の暇な日曜日が過ぎていった。
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