まっしろな遺書
 2015年4月16日


 美穂は、少し遅い春休み。
 社会人に春休みがあるのかと思ったけれど……
 きっと俺に気を使っていたのだろう。
 そして、美穂は、派遣社員だと思っていたけれど……
 いつの間にか正社員。

 美穂その美穂は朝から、十三のベッドに潜ってゴソゴソしている。

 部屋の扉が開く。

「十三君、おは……」

 ゆかりは、そこまで言って扉を閉める。

「ゆかりさーん。
 どうして閉めるんですかー?」

 ゆかりは、すぐに扉を開ける。

「いや、私、お邪魔かなと思って……」

「お邪魔じゃないですよ」

 十三が、そう言うとゆかりは、部屋の中に入る。

「だって、エッチ中でしょ?」

「ち、違います!」

 俺が、そう言うと美穂は、ニヤリと笑う。

「3Pする?」

「私が、こんなお腹じゃなければね……」

 ゆかりが、苦笑いを浮かべる。

「ダメだよ。
 ふたりとも、そう言うのは好きな人とするべきだよ」

「私、十三のこと好きだよ?」

 美穂が、そう言うとゆかりさんも笑う。

「私も、十三君のこと好き……
 おなかの赤ちゃんが十三君の子だったらなって思うもん……」

「ええ?」

 十三は、目を丸くさせる。

「私も十三の子欲しい!」

 美穂たちが、そう言って十三をからかう。

  俺は、ダメなんだ。
  俺の遺伝子は壊れている。
  だから、子供は作りたくない。

 十三は、そんなことを思ったが口に出せなかった。
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