まっしろな遺書
 2015年4月27日

 昨日、十三とゆかりは沢山歩いた。

 金閣寺、銀閣寺。

 その他諸々歩いた。
 そして、昼の真ん中……
 ゆかりが、小さく呟く。

「これから、ホテル行かない?」

「え?」

「あ、もしかしてエッチなこと考えた?」

「えっと……」

「お茶しよう?
 十三君が、どーしてもって言うのならエッチしたいけど……」

 ゆかりが、頬を赤らめる。

「俺は、好きな人としかしません」

 といっても十三に性経験があるわけではない。
 むしろ0だ。

「そこが良いんだけどな。
 ここで、ヤりたいって言う男は、殴るわね」

「そっか……」

 十三は、小さく呟く。

「どうした?
 元気ないぞ?」

「うーん。
 なんか、自分が情けなくて……」

「情けない?」

「だって、全然リード出来てない……」

「そんなの当り前じゃない」

「え?」

「それが、十三君なんだからー」

 ゆかりさんが、クスリと笑う。

「えー。
 なんですかー?それー」

「だって、十三君は、十三君なんだもん」

「ちぇ……」

 十三が、ため息をつく。

「とりあえず、ホテルでご飯だー」

 ゆかりは、そう言うと一流ホテルに向かった。

「えっと……
 俺、お金そんなにないんですけど……」

「お姉さんに任せなさい!」

 結局その日の食事は、ゆかりの奢りでホテルで食事を食べた。
 十三は、ステーキを奢ってもらった。
 今までで食べた中で、最高の味だった。
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