まっしろな遺書

　2015年5月4日


「月曜日、新しい週の始まり。
　退屈な1週間のはじまり」

　十三はそう呟いた。

　子供たちは授業。
　十三は、病室に引きこもり。

　することもない。

　バケモンも子供たちと対戦するとき以外は、あまりやってない。
　少し飽きたのかもしれない。

　十三は、何気なく外に出る。
　外は、少し暖かくなって来たかな。

　外を歩いていると山本を見つけた。
　山本は、綺麗な女性と一緒に居た。
　誰だろう？

　山本は、俺に気付くと大きく手を振る。

「おーい。
　十三君！」

「あ、山本さん。
　おはようございます」

「おはよう」

　十三は、ゆっくりと女性に視線を移す。

「あ、おはようございます。
　私、娘の夢叶（ゆめか）です」

「あ、十三です」

「はじめまして……
　父から話を聞いています」

「え？」

「可愛らしい彼女さんといつも一緒にいる方だと……
　あと、子供に好かれる方だと……」

「そ、そうですか……
　子供に好かれてるのかな？
　たぶん、精神年齢が近いだけだと思うけど……」

「そうなんですか？」

　夢叶は、クスっと笑う。

「十三君、この子を貰ってはくれないか？」

「え？」

　山本の突然の発言に俺は、戸惑う。

「もう、お父さん。
　私、今月末で結婚するんだから……」

「それは、わかっているが……
　あまり知らない男より、私が知っている人間の方が……」

「先月紹介したじゃない……」

「それっきりじゃないか……」

　山本は、ため息をつく。

「今週、また挨拶に来させるから……」

「私は、結婚を認めてない訳じゃないんだよ。
　ただ、寂しいだけなんだよ」

　山本は、寂しそうに空を見上げる。
　空は何処までも青く、そして綺麗だった。