君と話す
春の夜の風のように流れ、スコッチウィスキーのように佇み、何事もなかったかのように消え去る。そんな日々があったんだと感じる時はとてもうれしい。誰かと話したくなる。もちろん、何も話す事なんかない。でも、僕は話すだろう。だって、話す事がないから何も話しちゃいけないって事もない。話したけりゃ、話せばいいし、聞きたくなければ、聞かなきゃいい。もし、君にそんな時がくれば、僕は君の話を聞いてあげられるだろうか。もちろん、ただ聞けばいいってわけじゃない。君がそういう状態だと理解して聞く姿勢ができるかって事だ。そんな事はわからない。今はもちろん聞いてあげられると言う。だけど、先の事はわからない。だから、聞いてあげられると君の前で言っているとすれば、それは、口先だけか、本当にそう思っているか、どちらかしかないんだと思う。君と話をする時は何か飲み物があればいい。話しているうちに、口の中がネバネバしてきたら嫌だから。そうなったら、君は、「納豆みたい」とはしゃいでよろこんでくれそうにないからね。僕もそう思う。できれば、水かお茶かコーヒーか。オレンジジュースでもいい。氷の入ったコーラ以外ならなんでもいい。もちろん、アボガドジュースとかは遠慮したい。常識の範囲ならなんでもいいって事だ。ああ、また常識とか使っちまった。こんな言葉、大嫌いだ。でも、常識がない奴も大嫌いだ。そんな事はどうでもいい。そう、飲み物はコーヒーがいい。欲を言えば、小さいカップに入った甘くないやつだ。それと、煙草だ。だが、もしそこに妊婦と小さな子供がいれば煙草は吸わない。なぜなら、妊婦や赤ん坊の前で煙草を吸う奴なんて、死ねばいいと思っている奴が日本だけで、500万人もいるみたいだからね。そんな事で、僕はあっさり死にたくない。そんなわけで、僕はやっと、君との会話に集中する事ができるわけだ。ささやかな話を夜の12時まで。そして、僕は思う。今度こそ、今日楽しかった事を忘れないでいようと。
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