夢道


「俺が最後だったのに…。
最後の……。」


コウさんは何で、

何でこんなにも強いんだろ。


私は今もまだ、

過去から踏み出せずにいるのに。


「………」


何て言えばいいのか

全然、分からなかった。


「ごめんな……
こんな暗い話して!!」


沈黙を裂くように、

コウさんが言った。


「ありがとう。
コウの話聞けて嬉しかったよ。」


ノイさんが返事をする。


私は……

何も言えなかった。


過去を背負いながらも

前に進んでいる人がいるのに、

自分は……。


すごく情けなく感じた……。



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