夢道


私は頭の中が

真っ白になっていて、

何も考えられなかったんだ。


眼を力いっぱい閉じて、

ひたすら祈っていた。


『私たちの今までの時間。
戻ってきて!!』


そんなこと、

もう…

叶うわけない……。


そんなことくらい

わかってたけど。


それでも、

そう祈らずには

いられなかった。


その時、

ロイさんが真剣な顔で、

私たちのもとから

走り去っていった。


「危ないっ!!」


そう声をかけて

止めようとしたけど、

もう一人の人に

止められた。



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