夢道


私に自由が来たのは

どれくらいぶりだろう……?


自由といっても、

この図書室から一人で

出るのは許されない……。


それでも

小さな自分だけの時間が

手に入ったことが

本当に嬉しかった。



私は読みたい本もなかったから、

図書館の中を見回しながら

適当に歩いた。


図書館といっても、

ここにいるのは

城の中の人だけ……。


私と同年代の人など

一人もいない……。



私は一番奥の方まで

歩いて行った時に、

昔のことを思い出して、

一番奥の本棚のところまで

歩いて行った……。



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