会話
「でも、自分の回りには居なかった、みたいな話になるじゃない?でも、居たんだよね、多分。でも、気にする?この歳になって、孤児とか。でも、なんとなくそういうの言う必要ないじゃん、とかそういう風土だよね。」
「いきなり、カミングアウトされてもねー。とかね。そんな事言う奴に限って、変な気使うんだよね。いや、ダメな気の使い方っつーか。あたし空気読めてますよー、みたいな顔してね。万事、空気の読みが浅い奴ね。あーあって感じの」
「じゃあ、いきなりカミングアウトされたらどうすればいいの?」
「それは自分で考えろよ。でも、そいつが孤児だとか、在日だとか、片親だとかは、そいつ自身の人格とは関係ないよね。そんなもん付加価値でしかないじゃん。そこでそいつを判断する事はないよね。だから、そいつが嫌な奴だったら、別に同情とかはしないね。例えばの話。まー、新興宗教とかでいっちゃってるのは、ちょっと勘弁だけど。」
「あっそー。なんか、話したねー、けっこう。別に話す事ないのに、話せるもんだね。」
「何?もうお会計?もうちょい飲もうよ、コーヒー。」
「コーヒーはもういいや、口がコーヒー臭くなっちゃうよ。すいませーん。ホットウーロン下さい。」
「そうそう、宗教で思い出したけど、ユダヤ教の人って格好がかっこよくない?すごい髭はやしててさー、給食当番みたいなの着てるでしょ。あと、ちっちゃい帽子。」
「かっこいい。あれ、なんかカウボーイ・ビバッブの映画に出てくる博士みたいなのでしょ」
「それ、イスラム教じゃね?」
「あー、でもなんかわかる。ちっちゃい帽子。」
「でも、あーいう、宗教が前提にあって生活があるのいいよね。歴史もあるし。なんか信じてるっていう感覚も俺らとは違う感じ。」
「でも、途中で嫌になったらどうすんだろうね?もー、なんか信じらんねーよ、って。」
「あんま、いなさそうだけど、確実にいるだろうね。そういう人はうまく抜けられたらいいね。」
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