会話
「でも、やっぱ、完全に振り切るには時間が必要なんだよ。なにしろ、生まれた時からだからね、アブラハムさんは。」
「あー、名前付いちゃった。長くなりそうだね、この話。」
「それで、気付くんだよ、ラストで、俺は宗教を否定も肯定もしないって。だから、昔、イスラム教だった自分を、少なくとも否定はしない、って。」
「んー、そうなんだ。」
「もしくは、自分は無宗教だけど、神はいる事は否定しない、みたいな。そこまでに、至るまでに迫害されたり、中野でテレカ売ったり、下町で頑固親父に優しくしてもらったりね。うん、いい映画になりそう。」
「だんだん、無駄にノッてきたね。悪い流れだわ。それ。」
「じゃあ、どうぞ。」
「私は、ゾンビ映画撮りたいなー。ゾンビVSキョンシーみたいなやつ。そんで、水野晴郎が戦うの。」
「なんか、そういのもうあったような。それと、そういう事言うのはもういいや。お腹いっぱいっていうか。B級系っておしゃれじゃない?的な感覚はもう」
「それ、思い込みの偏見じゃない?じゃあ、『完全ドキュメント!やっぱり、今度こそ、ムー大陸はあった!』っていうのは?吉村教授、総監修。」
「それは見たい。古代文明超好き。神々の指紋読んだもんねー。将来は考古学者になるつもりだったし。」
「あそー。」
「あー、スカパー入りたいなー。金あったら。つーかサッカーチャンネル。最低でも、ユーロとチャンピオンズリーグは見たい。」
「週5で働けば?」
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