手紙-あなたへ。-
過去

弐。

要とは知り合ってから
毎日のように
電話で話した。

長距離トラック運転手の要は
暇だったり眠かったり
色んな生活の時間の狭間に
電話をくれていた。

話す事は決まって
どうでもいい事で
そんなどうでもいい事を
私たちは笑って話した。

そしていつも要は


「麗奈、かわいいね」


そう言ってくれた。

そんな事は弘毅ですら
言ってくれない言葉で
照れるばかりだった。

そして気が付くと
私はやたら輝いていた。

怜が生まれてから
時間も体力もなくて
仕事以外では
化粧することすら
無くなっていた。

そんな私が要と出会って
日常の普通の時間に
当たり前のように
化粧を施していた。

要はまず、私を女にした。

「別に何しなくてもいいよ
ただ麗奈が変わらないで
綺麗なままいてくれたら。
俺それだけでいい」


電話越しに
要が毎日言ってくれる
この一言が
私をただ突き動かした。
< 15 / 37 >

この作品をシェア

pagetop