手紙-あなたへ。-
「要…」

嘔吐物は血に変わった。
急性アルコール中毒。
朦朧とする意識の中には
要しかなかった。

いない。
要がいない。
要はいなくなった…

私と怜(れん)を置いて…


「すいません…
ママ、見た通りなんで…
チェック切らせて戴いて
よろしいですか?」

あの声はひなチャン?

私何してるんだろう

もう何にも考えられない
日々が続いていた。

悪夢は突然訪れた。
あの日から私は
崩壊してしまった。

毎日店で飲み潰れている。

「ママ、立ち直れよ?
悲しいと思うけど…
要クンのことは…
どうしようもないから…」

城田サンの声が微かに
聞こえた。
励ましの言葉なんて
今の私には何の意味も
持ちやしないのに。

「怜チャンもいるんだから」

うるさい。

うるさい。

あんたには分からない。

この結末の苦しさが
あんたに
分かるわけないだろう?

その言葉が頭を過ぎって
意識を失った。
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