手紙-あなたへ。-

参。

麗奈の働くスナックは
私の働くスナックから
目と鼻の先にあった。

なぜか店の中には
誰一人いなくて
静かに流れる音楽が
何とも大人な雰囲気。


「どうしたの?
何があったの」


ボックスに座って私と香澄は
向かい合わせになった。


「ごめんね」


何となく謝ると
香澄は大声で笑って
また席を立ち
カウンターの中へ
酒を作りに入っていった。


「麗奈が謝るとか
考えられないね。
あの暴れ馬が…
独裁国家の麗奈が謝る?
どうしちゃったの!?
あっ、水割りでいい?」


私は力無く笑って頷いた。

昔の私を知っている香澄。
謝る事すら笑い飛ばす
香澄の相変わらずの
ポジティブさに笑える。
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