手紙-あなたへ。-
「そっか。
ゴメンね、ありがとう。
何でもない質問だから
気にしないでね」


努めて明るく言った。

要は何か言いたそうだった。

だけど言わさなかった。

伝えなければ分からない…
そう言う人もいるだろう。

少なくとも私は違う。

敢えて違う方向を
選んでしまったんだ。



『試す』



要を、自分を。

私の後悔の始まりだった。
それに気付きもしなかった
そんな私は…





きっと幸せで
きっと若くて
人に恋して人を愛する
その手段を間違った
悲劇のヒロインだったんだろう。
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