手紙-あなたへ。-
「どこ行く?」


私の車に乗り込んでからも
私は要の顔をなかなか
見る事ができなかった。

照れ臭いのもあったし
弘毅への罪悪感も
多少はあった。

どこでもいいと要は笑って
私は適当に車を走らせた。

助手席で煙草をふかして
楽しそうに外を見つめる
そんな要は格好よくて
いつもは嫌いな運転も
このままずっとしていたい
そう思った。


「公園でも行って
日光浴でもするか!」


要のその一言で
行き先は決定した。

公園についたものの
日光浴というよりは
日焼けサロンに近い状態で
日光に当たっているのが
限りなく限界に近いと
判断した私の要求で
ひさしの下に入った。

最初は泣いていた怜も
すぐに要に慣れてくれた。


「怜、こっち向け」


一生懸命怜をあやして
楽しまそうとしてくれる
要の優しさが
私にしっかり伝わった。

少し離れた場所で
煙草をふかしていた私は
知らない内に笑顔だった。


「可愛い赤ちゃんねえ」


公園の掃除をしていた
用務員のおばさんの
他愛ない言葉にも要は
父親のふりをしてくれた。
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