負け犬の遠吠え
 先生は持ってきた封筒から問題用紙と解答用紙を出した。
 まずは解答用紙から配り始める。全員に行き届いたことを確認すると次は問題用紙を裏向けて配った。それも確認する。
 そして10時ジャスト。

「始めて下さい」

 そうして受験は始まった。
 1限目の科目は英語で、2限目が国語、3限目が数学の順番だった。
 流石は私立、問題が独特で難しい。
 いや、問題自体は簡単なのだろうが、物凄く捏ねくり回している捻た問題が多い。そんなこんなを考えている内にすぐに時間は過ぎていき、あっという間に全ての教科が無事に終わった。
 でもうかうかもしていられない。
 次は面接だ。
 これが1番重要だ。面接前に30分の休憩が入る。私は取り敢えず一息つきたくて鞄をもって教室を出た。廊下に出て外の空気を吸いたくなったので裏庭に出た。自動販売機とベンチが一つポツンとあるくらいで、あとはガーデニングと誰の趣味かは分からないがトマト、キュウリ、ナスなどの野菜栽培もあった。結構しっかり世話をしている感じだ。
 私は自動販売機で暖かい蓋付きのお茶を買い、ベンチに座って一息ついて呑んだ。
 すると男女が裏庭にきた。
 見た事あると思ったら、私を教室まで案内してくれた人と、隣の席の男子だった。
 姉弟か何かな?何て思った。すると二人はそんな私の視線に気付いたのかペコッと会釈をしてきたので私も会釈をし返した。しかしお似合いだ…。すると男子の方がこっちにきた。何の用だろうと思っていると、自動販売機に用があったようで、ジュースを買って飲んでいた。

「ふう…次は面接か」

 独り言?それとも話掛けられてる?
 そんな雰囲気を読み取ったのか「独り言だから気にしないで」と向こうから言って来た。
 彼はジュースを一気飲みすると「じゃあ俺先に行くから」と言って行ってしまった。私は「ああ、うん」としか答えられなかった。そして私はそれから10分後に面接会場に向かった。
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