双綴―ふたつづり―
「この世界が三分される中、スクナのみが態度を決めかねておる。故に、我がマーファが直々に傘下に加えてやると、わざわざ参ったのだ」
「ふざけるな!スクナは何処の国も侵さないと、三貴家を中心にした同盟に宣誓した筈だ!」
「だが―――」
冷ややかに返すヨミ。
「我らが貴様らを侵さぬと誓った覚えはない」
「嘘だっ!!」
叫んだ。
間髪入れず、苛立ちを刀で振り払うように。
なおもヨミは続ける。
「さらに、ルリ女王が軍備を増強しようとしている話も聞いた」
嘘だっ!ルリ女王がそんなこと、企てる筈もない!」
「真偽など問題ではない。疑わしきは罰せよ……ということだ」
ヨミの髪が、些細な顔の動きに揺れる。セキも自然と、そこへ目線を追わせた。
重なった目線の先に、セキは目を見開く。
心臓がドクンと波打った。
激しく揺さぶられる感覚に、目が覚めるような思いがする。
ぐらりと意識が揺れた。それが足へ伝わり、重心が揺れた。
心が、嘘だと繰り返し否定する。が、頭はその障害を押し返しながら、疑問の闇を取り払っていく。
押し寄せる濁流のような激情は口から這い出ることが出来ず、涙となって形を成した。
「ふざけるな!スクナは何処の国も侵さないと、三貴家を中心にした同盟に宣誓した筈だ!」
「だが―――」
冷ややかに返すヨミ。
「我らが貴様らを侵さぬと誓った覚えはない」
「嘘だっ!!」
叫んだ。
間髪入れず、苛立ちを刀で振り払うように。
なおもヨミは続ける。
「さらに、ルリ女王が軍備を増強しようとしている話も聞いた」
嘘だっ!ルリ女王がそんなこと、企てる筈もない!」
「真偽など問題ではない。疑わしきは罰せよ……ということだ」
ヨミの髪が、些細な顔の動きに揺れる。セキも自然と、そこへ目線を追わせた。
重なった目線の先に、セキは目を見開く。
心臓がドクンと波打った。
激しく揺さぶられる感覚に、目が覚めるような思いがする。
ぐらりと意識が揺れた。それが足へ伝わり、重心が揺れた。
心が、嘘だと繰り返し否定する。が、頭はその障害を押し返しながら、疑問の闇を取り払っていく。
押し寄せる濁流のような激情は口から這い出ることが出来ず、涙となって形を成した。