秘密の私と、秘密の彼。【更新中】
・・・別に本気で園田くんに怒ってるんじゃ、ない。
一瞬でも学校の人気者である彼にドキドキした自分が、なんだかとても恥ずかしくて。
私なんかが、って思うと無性に恥ずかしくなって。
だから、園田くんに気付かれないように怒ってるフリをして彼の隣に並ばないようにしたんだ。
「ちょっと風澄~、早いって」
「・・・」
「またシカトだし」
園田くんが不満そうな声を発しているけど、知らんぷり。
私は先に、資料室に着いた。
・・・園田くんより先に、着いたんだけど。
「・・・」
資料を抱えてるから両手が塞がってドアを開けれない!
なんたる不覚!
足早に追い越して先に着いたってのに!
私はドアを開けるべく、資料を片手で持とうとしてみる。
「・・・おっも」
・・・ダメだ。
両手で持てても、片手じゃ持てない重さ。
成す術なく、私はドアの前に立ったまま俯いた。
それから1分も経たないうちに、園田くんが追いつく。
私が黙ったまま俯いているのを見て、彼は首を傾げた。
「あれ、どした?」
「・・・ドア」
「え?」
「ドア、開けれない」
「あぁ、そういうことね」
またさっきみたいに意地悪そうに笑うかなって思ったけど。
園田くんは何も笑わず、私が持っているよりも重たい資料をひょいっと自分の肩に乗せて、空いた片手でドアを開けてくれた。