秘密の私と、秘密の彼。【更新中】
「はい、どうぞ」
「・・・ありがとう」
バツが悪くて、園田くんの顔を見れない。
素っ気なくお礼を言ったことに少し後悔しながら、資料を近くの机に置いた。
「重かったー・・・」
しびれた手をぶらぶらさせて、ちらっと横目で彼を見る。
園田くんも資料を置いて近くの椅子にもたれかかり、大きく息を吐き出した。
・・・やっぱり、重かったんだ。
軽そうに3分の2の量を持ってたけど、私が気遣わないようにしてくれたんだ。
さりげない彼の優しさに気づいて、嬉しくなる私。
「あの・・・、ありがとね。手伝ってくれて」
「え?いや、先生が頼んできたことだしいいよ」
彼の笑顔に胸が締め付けられて、たくさんの疑問が湧き上がる。
・・・ねぇ、園田くん。
どうして、私に優しくするの?
どうして、私に笑いかけるの?
今まで接点なんてほとんど無かったのに。
どうしてキスしたの?
なんとなく?それともちゃんと理由がある?
・・・“秘密の口止め料”って言って、私を利用してるの?
・・・あぁ、もう。
考えるだけ無駄なことだ。
私は園田くんに秘密を知られた。
その秘密が口外されないよう、私は彼の言うことを聞くだけ。
ただ、それだけの関係。
そうでしょう?