残り10cmの恋
《皆、よろしくな!》
高木くんは、グループに入ってくれて
挨拶をしていた。
《よろしくー!》
健や、ひとみ、竜も返信していた。
「よろしくね…と」
私も、よろしくねとだけ送って
スマホを鞄にしまってリビングへ向かった。
リビングに入ると、2つ上のお兄ちゃんが
ソファでTVを見ていた。
「ただいま、お兄ちゃん」
「お帰り」
TVに夢中になっている、お兄ちゃんは
無愛想だ。
「お母さんは?」
「んー、買い物」
「そっかー」
「お菓子あるから、食べようぜ」
お兄ちゃんは、TVから目を離して
私に、お菓子をとって来いという目線を送ってきた。
お兄ちゃんというものは、なんでこんなに人使いが荒いのだろう。
仕方なく、台所へ行って冷蔵庫を開けると
苺タルトが2つ置いてあった。
苺タルトは、私とお兄ちゃんの大好物。
きっとお母さんかお父さんが買ってきてくれたんだろうな。
「お兄ちゃん、苺タルトだよ!!」
「え、まじ?!!」
お兄ちゃんも、嬉しいようでソファから立ち上がって
台所まで来た。
「やったね!!」
「まじ、嬉しすぎる!」
テーブルに苺タルトとフォークを置いて
向かい合うようにして座った。
「「いただきます!」」
食べると、最高に美味しかった。
「美味しい〜♪」
お兄ちゃんも、幸せそうに食べている。
今日は、何だかいい事ばかりな気がする。
高木くんと、仲良く(?)なれたし、苺タルト食べれたし…。